弦の固有振動


§1 実験の目的

弦の固有振動数 n と、弦の長さ l 及び張力 T の間の関係を調べる。

§2 実験の原理

弦を振動させるとき、弦にかかる張力が高いほど復元力が強くなるので、弦の振動数が高くなる。また、弦の質量が大きいほど慣性が大きいので、弦の動きの変化に対する抵抗がおおきく、振動数は低くなる。そして、弦の振動は弦を伝わり、両固定端で反射した波と入射波とが重ね合わされる。入射波と反射波が強め合って固有振動が起きるとき、基準振動となる最大波長の波は、弦の両端が節、中央が腹となる、波長 2l の波である。波が弦を伝わる速度は、

    (1)

である。そして、弦の基準振動数 n は次のように書かれる。


        (2).

§3 実験方法

弦は線密度ρ = 5.37×10-4 kg・m-1のものを用いる。弦に張力を加えるために用いる重りは、1個およそ 1kgのものを用いる。各重りの質量は上皿天秤を用いて測定する.重りは弦の一端に取り付け、鉛直下方に吊るす。

[理論値を求める] 実験1と実験2の両方について,(2)式を用いて lT の各条件で予想される共振周波数 n を計算する.

[実験1]   張力一定の場合での、弦の長さと共振周波数との関係

[実験2]    弦の長さ一定のときの張力と共振周波数との関係

[ここに装置図とその説明を記入する]

§4. 実験結果

表1,2に実験1,2の測定値の平均値と標準偏差を示す。弦の線密度ρ ρ =□.□□×10-3kg・m-1である。

弦の長さ l 
[cm]
  1/l  
[m-1]
共振周波数νの予測値 [Hz] 共振周波数の実測値の
平均値ν[Hz]
共振周波数νの実測値の
標準偏差 [Hz]
30.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
35.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
40.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
45.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
50.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
55.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
60.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
65.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
70.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
75.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
80.00 □.□□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□

表1.張力一定の場合での弦の長さと共振周波数
 張力 T = □□.□N での共振周波数を、各々の弦の長さの場合について5回づつ測定した値の平均値と標準偏差を示す。弦の長さの増加と共に共振周波数の値が小さくなることが分かる。

 
弦の張力 T [N] (T = mg) 張力の平方根
T
1/2 [N1/2]
共振周波数νの予測値 [Hz] 共振周波数の実測値の
平均値ν[Hz]
共振周波数νの実測値の
標準偏差 [Hz]
□.□□ □.□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
□□.□ □.□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
□□.□ □.□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
□□.□ □.□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□
□□.□ □.□□ □□□ □□□.□□□ □□□.□□□

表2.弦の長さ一定の場合での弦の張力と共振周波数
 弦の長さ l = 40.00×10-2m での共振周波数を、各々の張力について5回づつ測定した値の平均値と標準偏差を示す。張力の増加と共に共振周波数が高くなることが分かる。

 さらに、図1,2に共振周波数を弦の長さ、および長さの逆数に対してプロットしたものを示す。図1からは、共振周波数が弦の長さに対して減少関数になっていることが分かる。そして、図2から共振周波数は弦の長さの逆数に比例することが確認できる。その比例係数は図2の測定値に最少自乗法を適用することにより、□□.□□m/sと求められた。

図1. 弦の長さと共振周波数の関係
張力がT = 19.60 N の場合の共振周波数。弦の線密度は
ρ=□.□□□×10-3kg・m-1。○は5回の測定の平均値を示す。

 

図2. 弦の長さの逆数と共振周波数の関係
張力がT = 19.60 N の場合の共振周波数。弦の線密度は
ρ=□.□□×10-3kg・m-1。○は5回の測定の平均値を示す。
直線は測定値に最少自乗法を適用して求めた
勾配=□□.□□m・s-1の直線である。

 

 図3,4には表3,4に基づいて、弦の長さをl = 40.00×10-2mとしたときの共振周波数を、弦の張力と張力の平方根とに対してプロットした。図3より、共振周波数は張力の増加関数であり、図4のプロットにより、張力の平方根に比例することが確かめられる。張力の平方根に対する比例係数は、測定値に最少自乗法を適用することにより、□□.□□m-1/2・kg-1/2と求められた。

図3. 弦の張力と共振周波数の関係
弦の長さl = 40.00×10-2 mの場合での共振周波数。
○は5回の測定の平均値を示す。共振周波数は弦の
張力の増加関数であることが分かる。

 

図4.弦の張力の平方根と共振周波数の関係
弦の長さl = 40.00×10-2 mの場合での共振周波数。
○は5回の測定の平均値を示す。直線は測定値に
最少自乗法を適用して得た、勾配□□.□□m-1/2・kg-1/2
の直線である。

 

図2,4により、弦の共振周波数は、弦の長さと張力とに対して以下の関係を示すことが確かめられた。

    (3)

§6. 考察

 実験的に確かめられた関係(3)は式(2)と一致する。

 図2、4の直線の比例係数を式(2)から求めてみよう。弦の線密度ρ をあらかじめ測定された値ρ=□.□□□×10-3kg・m-1とする。まず,図2の共鳴振動数と弦の長さの逆数との比(即ち図2の直線の勾配の理論値)は次のように算出される。

 …(4)

次に、図4の共鳴周波数と弦の張力の平方根との比(即ち図4の直線の勾配の理論値)は次のようになる。

  …(5)

(4),(5)に対応する実測値を図2,4の直線に最小自乗法を適用して求めると、それぞれ以下のようになった。

図2の直線の勾配 = □□.□□±□.□□ m・s-1 …(6)

図4の直線の勾配 = □□.□□±□.□□ m-1/2・kg-1/2 …(7)

(6),(7)の値を(4),(5)と比較すると、実測(6),(7)の方がやや大きな値になっている。この理由として考えられるのは、測定時には弦が伸張しているために実質的に線密度の値が下がっていることである。

図2の実験では張力を一定にしているので、この場合の実測値から弦の線密度を求めてみよう。(4)でρを未知数として、(4)=(6)としてρを求めると、次の値が求められた。

ρ = □.□□□×10-3 kg・m-1

さて、本実験で弦に共振が起きるのは、弦に加えられた振動が弦を伝播し、両端で反射され、反射波と入射波とが強めあうためである。この振動の伝播速度、即ち波の速度は式(1)で与えられる。式(1)を用いて実際の波の速度を求めてみよう。

 =(図2の直線の勾配)×2=□□.□□ m・s-1

 

§6. 結論

弦の固有振動数νと、弦の長さ l 及び張力 T の間には、

 
という関係が成立していることが確かめられた。